キネティック・アートの約100年にわたる歴史を振り返る展覧会が、オランダ・ロッテルダムのクンストハルで開催されている。展覧会では平面・立体・インスタレーション作品約80点を光、動き、リズム、構造、振動、空間、輝き、非物質性、回転など12のテーマに分けて紹介している。
20世紀のヨーロッパで、機械の持つ新しい表現の可能性やそれが提起する問題に強く惹かれた芸術家たちがいた。彼らは機械じかけで動いたり、光が移動したり点滅する作品のほか、実際には動かなくても目の錯覚を利用したり、見る人の視点の移動に応じて動いて見える作品を生み出し、それらは「キネティック・アート」(動く芸術)と呼ばれた。
1963年に模型として発表されたハインツ・マックの記念碑的な作品《機械的なバレエ》が、この展覧会にあわせて初めて実際に制作された。この作品は、鏡の壁を背景に反射面を持つ回転する柱から構成されており、 それらは外部からの光をとらえ、回転にしたがってさまざまな方向に光を放つ。反射は無限に続き、壁や床、観客を含めた空間全体が作品となる。そのほか、暗闇にダイナミックに変化する光のパターンを投影したジュリオ・ル・パルクの《Lumière alternée》(fig.1)や、下から扇風機の風に煽られて青いナイロンの布が翻るハンス・ハーケの《ブルー・セイル》、球体の鏡が無数に張り付けられた通路を通り抜ける草間彌生の《インビジブル・ライフ》などが展示されている。光と動きが作り出す作品がさまざまな感覚に訴えかけ、「見る」というよりも「体験する」展覧会である。
『アクション ←→ リアクション』展は2019年1月20日まで
Museumpark
Westzeedijk 341
3015 AA Rotterdam
The Netherlands
https://www.kunsthal.nl
開館時間:
火曜日~土曜日 11:00-17:00
日曜日 11:00-17:00
休館日:
毎週月曜日及び1月1日、4月27日、12月24日、12月25日