レンブラントとサスキア-オランダ黄金時代の愛

fig.1 Rembrandt van Rijn, Half-length Figure of Saskia Uylenburgh in Rich Apparel, 1633-1642, oil on panel. Museumslandschaft Hessen Kassel, Gemäldegalerie Alte Meister

オランダではレンブランド没後350年を記念して2019年をレンブラント年とし、各地でレンブランドに関連した展覧会、イベントが通年開催されている。その一つとして、レンブラントと愛妻サスキアの出会いから結婚生活の終焉までの物語をレンブラントの作品と当時の工芸品などを通して辿る展覧会『レンブラントとサスキア:オランダ黄金時代の愛』が、サスキアの出身地であるオランダ北部レーワルデン市のフリース博物館で開催されている。プロポーズの方法や夢のような結婚式の様子、子供の死亡率の高さ、そして死別といった17世紀オランダ黄金時代の上流階級の結婚生活の中に見られる歓びと哀しみの両面をレンブランドの作品を通して辿る斬新な展覧会である。

レンブラントとサスキアの結婚生活

1633年の夏、レンブラントはレーワルデン出身のサスキア・ファン・アウレンボルフと婚約。その3日後に婚約者の姿を初めて描いた。麦わら帽子をかぶったサスキアは一輪の花を手にし、彼女を描く未来の夫に向かって優しく微笑んでいる。翌年の1634年に二人は結婚し、サスキアがうたたねしていたり、侍女に髪を梳いてもらっていたりと、夫を前に妻が見せる日常のふとした情景をレンブラントはスケッチに描き続けた。しかし、彼らの幸せな結婚生活は10年も続かなかった。サスキアが病気のため、結婚してから僅か8年後の1642年にレンブラントと生まれたばかりの一人息子ティトゥスを残してこの世を去ってしまったのだ。

愛する妻の肖像画

展覧会の最後にはサスキアの肖像画(fig.1)を真ん中にしてレンブラントと息子ティトゥスの肖像画が並んでいる。聡明そうなサスキアの横顔が暗い背景に浮かび上がる。彼女は赤いベルベットの帽子とドレスを身に着け、髪や胸元、手首を真珠や宝石を散りばめた宝飾品で飾っている。この肖像画は婚約後まもなく描かれたものだが、サスキアの死後、レンブラントが描き加えた箇所がある。サスキアが手にするローズマリーの小枝だ。ローズマリーが意味するものは『思い出と変わらぬ愛』である。

展覧会は3月17日まで開催(月曜日休館)。

フリース博物館 Fries Museum

Wilhelminaplein 92
8911 BS Leeuwarden
The Netherlands
https://www.friesmuseum.nl/en/

開館時間:

火曜日~日曜日 11:00-17:00

休館日:
毎週月曜日及び1月1日、12月25日

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