「カレル・アペル回顧展」

Karel Appel, Vlammend Kind met Hoepel, 1961,olieverf op doek, 320 x 230 cm. Collectie Musée d’Art Moderne de la Ville de Paris, France© Karel Appel Foundation, c/o Pictoright Amsterdam, 2015

1948年に前衛美術運動のグループ「コブラ」の創設に参加し、表現主義的な作風によって戦後美術の原点の一人として大きな影響をおよぼしたカレル・アペルの展覧会が、その没後10年を記念して、母国オランダのデン・ハーグ市立美術館で開催される。そこではコブラのメンバーとして活躍していた時期の作品を含め、油彩67点、彫刻12点、素描60点以上が展示される。

カンヴァスとの闘い

ヤン・フライマンによる「カレル・アペルの真実」というドキュメンタリー映画。そこに映し出されたアペルは、まるで闘志を剥き出しにした格闘家のようだ。自分の背丈以上のカンヴァスに立ち向かい、カンヴァスが揺れるほど絵の具の塊を叩きつけ、刷毛で薙ぎ払い、唸り声をあげながらチューブからカンヴァスに直接絵の具を絞り出している。アペルは色彩に直に感情表現を担わせ、力強い作品を描いた。彼は自らの作風を確立すると、60年以上のキャリアの中で、そのスタイルを維持しながら果てしなく進化させ、実験的な作品を残した。

制作のための綿密な準備

彼の作風は表現主義的で一瞬の激情をそのままカンヴァスに叩きつけたような激しさを持っているが、実際には、制作を行うまでには綿密な準備を行っていた。レンブラントやゴッホ、ピカソ、モンドリアンなどの画面構成を仔細に研究し、幾枚ものスケッチを描いて構成を練り、絵の具や道具を慎重に選定した。

1950年以降

1950年にパリに移り住んで以降、彼は世界的な賞を立て続けに受賞した。その後、ニューヨーク、コネティカット、モナコ、トスカーナの4つのアトリエを移動しながら精力的に制作を続け、2006年、当時住んでいたチューリッヒでその生涯を閉じた。
「カレル・アペル回顧展」は、2016年1月16日から5月16日まで開催(月曜日休館)。

デン・ハーグ市立美術館 Gemeentemuseum Den Haag
Stadhouderslaan 41
2517 HV Den Haag
The Netherlands
http://www.gemeentemuseum.nl/en

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