
今年、40周年を迎えたパリのポンピドゥー・センターでは、9月27日から「マグリット―イメージの裏切り」展が始まった。ベルギーの画家ルネ・マグリットはシュールレアリスムの画家として知られ、想像力を駆使して、一見無関係と思える日常的なイメージを組み合わせ、夢と現実が矛盾することなくひとつの世界を形作るような「超現実」を実現しようとした(fig.1)。マグリットはミシェル・フーコーなどの哲学者とも交流をしており、その影響も強く認められる。
マグリットの絵画言語
本展では、思想と芸術という観点からのマグリット作品の解読を提案している。マグリットは繰り返し使用したいくつかの特徴的なモティーフ―カーテン、文字、額や区切られた空間、影-はそれぞれの意味を持ち、哲学者が理路整然と論を展開するようにマグリットは絵画の中でこれらの絵画言語を使用して語った。例えば、額や区切られた空間はプラトンの「洞窟の比喩」であり、影は大プリニウスが『博物誌』に記した絵画の発明のことだと捉えられる。

1929, Huile sur toile, 60,33 x 81,12 x 2,54 cm, Los Angeles County Museum
of Art. Purchased with funds provided by the Mr. and Mrs. William Preston
Harrison Collection, © Adagp, Paris 2016, © Photothèque R. Magritte
/ Banque d’Images, Adagp, Paris, 2016
「これはパイプではない」
《イメージの裏切り(これはパイプではない)》(fig.2)はパイプの絵の下に「これはパイプでない」という文字が書かれている。絵と文字が矛盾しているように思えるが、しかし、いくら本物と見間違えるほどのパイプであってもやはり絵なのである。文字とイメージの対立は偶像を崇拝するイスラエルの民に激怒したモーセが十戒の石板を破壊する聖書の時代にさかのぼる長い歴史を持っている。
「マグリット―イメージの裏切り」展は2017年1月23日まで開催。(火曜日休館)
ポンピドゥー・センター Centre Pompidou