「ボッシュからブリューゲルまで—日常生活の発見」展

Museum Boijmans Van Beuningen

オランダ、ロッテルダムにあるボイマンス・ファン・ベーニンヘン美術館では「ボッシュからブリューゲルまで—日常生活の発見」展を開催中だ。この展覧会では、風俗画の草分けであるヒエロニムス・ボッシュから、農民画家ピーテル・ブリューゲル(父)までを展望する。

16世紀のヨーロッパは、カトリック教会の権威が堅固でなくなり、人文主義と宗教改革による神と人間との新しい展望が示された時代である。また、カルバン派などの運動により聖書の制約から人々が解き放たれた時代でもあった。そうした時代と人々を風俗画は痛烈に描く。農民や傭兵、乞食、ふしだらな女性。食事をたらふく食べ、酒を浴びるように飲み、性に強い関心を持ち、仕事はなまけ、男性は女房の尻に敷かれる。作品の購入者となった都市生活者は、彼らの中でもとくに農民を「無学な愚か者」として嘲笑した。

ピーテル・ブリューゲル(父)が描いた《農民と鳥の巣盗り》(fig.1)には、木の上で鳥の巣を盗んで今にも木から落ちそうになっている男と、彼を指さして笑っている農民。農民は他人の失敗を笑っているが、あと一歩で自分が川に落ちることに気づいていない。一見すると愚かな農民を描いたように思われる作品だが、この作品を描いたとき、ブリューゲルの頭のなかには、哲学者を行く手の危険に気付かない単純な人物として風刺したエラスムスの風刺文学『痴愚神礼賛』があったとされる。

収税吏や銀行家、弁護士らは、時代遅れの豪華な衣装で着飾って現実の姿とはかけ離れた姿で描かれることが多い。金儲け主義の欲深い人物としてやはり嘲笑の対象であったのだ。
「ボッシュからブリューゲルまで—日常生活の発見」展は2016年1月17日まで(月曜日休館)

ボイマンス・ファン・ベーニンヘン美術館 Museum Boijmans Van Beuningen
Museumpark 18-20
3015 CX Rotterdam
the Netherlands
31 20 570 5200
http://www.boijmans.nl/en/

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