オランダ各地の美術館で、着物を着た愛らしい少女の作品を目にする。これらの作品を描いたのはオランダ人画家ジョージ・ヘンドリック・ブライトナーだ。アムステルダム国立美術館では、ブライトナーが制作した着物を着た女性を描いた全13作品を展示する「ブライトナー 着物の少女」展を開催する。
ジャポニスムの影響
ブライトナーが着物の少女の作品群を描いたのは1894年頃のことである。パリでジャポニスムが花開いていた頃で、モネやゴッホなど、ヨーロッパの芸術家たちは日本美術に多大な影響を受けた。ゴッホの友人のひとりであるブライトナーも西洋美術の伝統に染まらず、平面的で明快なコントラストを占める日本の版画に強い関心を抱き、自ら収集もしていた。
着物の少女、ヘーシェ・クワク
着物を着た少女は、帽子店で働く店員ヘーシェ・クワクで、16歳から18歳にかけて頻繁に彼のモデルを務めた。彼女を描いた作品のうち、ほとんどが同じ室内で描いたものである。東洋の敷物で覆われたベッドのすぐ後ろに屏風が置かれ、奥行を制限することで親密な印象が強められている。ベッドに横たわるヘーシェは、白地または赤地の小花を散らした着物を身につけている。クッションに頭を預けたり、両腕を頭の後ろに回したりして、物憂げに宙を見ている。
写真
オランダ国立美術史研究所にはブライトナーが撮影した写真2300枚が所蔵されている。ブライトナーは、レンズを通して観察したものを咀嚼し、カンヴァスに描きとめた。《着物の少女》のために撮影した写真(fig)と作品を見比べると、彼の思考の道のりを辿ることができるだろう。
「ブライトナー 着物の少女」展は2月20日から5月22日まで
アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum