アウトサイダーの画家、ジャン・デュビュッフェ

Fig.1 Jean Dubuffet: Personnage hilare (Portrait de Francis Ponge), 1947,
oil on plaster on cardboard, 60.5 x 45.5 cm, collection Stedelijk Museum
Amsterdam, donation of the artist

フランスの画家ジャン・デュビュッフェはアンフォルメル運動の先駆的存在となり、また幼児や精神障害者、原始の人々の芸術に強い関心を示してアール・ブリュット(生のままの芸術)を提唱するなど、国際的に大きな影響を与えてきた。この20世紀美術を辿るうえで重要な画家のひとりであるデュビュッフェに関する展覧会が、この夏、アムステルダムの二つの美術館で同時に開催されている。

厚塗りの絵画

アムステルダム市立美術館では、デュビュッフェが50年代に制作した絵画やリトグラフを出品している。この時期のデュビュッフェは新たな絵画的マティエールを開拓しようと試みていた。絵具が物質として存在感を強く示すまでに厚塗りし、さらに絵具に土やアスファルト、ガラス片など、通常では使用されない素材を混ぜ込み、独自のマティエールを作り上げた。《フランシス・ポンジュの肖像》(fig.1)では、石膏が使用されている。

グラフィックな野外彫刻
Fig.2 Monument au fantôme (1969–1971) Fondation Dubuffet, Paris. ©2017
Fondation Dubuffet, Paris / Pictoright, Netherlands. Photo Johannes Schwartz

1960年代から70年代前半にかけての作品は、強い輪郭線で囲った模様が画面を埋めつくすように描かれた作品が多い。色彩はしだいに整理され、グラフィック効果が強められている。絵画に描かれた模様が飛び出してきたかのような彫刻(fig.2)や、大規模な野外彫刻も70年前後に試みられた。そのうちの12点がアムステルダム国立美術館の屋外庭園に設置されている。

このふたつの展覧会を通して、既成の美学の枠を超える大胆奔放な表現力と独特のユーモアの感覚によって生み出されたデュビュッフェの造形世界をさまざまな観点から知ることができるだろう。

「デュビュッフェ ディープ・エンド」展は2018年1月6日まで、「アムステルダム国立美術館の庭園のなかのデュビュッフェ」展は2017年10月1日まで(ともに無休)

アムステルダム市立美術館 Stedelijk Museum Amsterdam
Museumplein 10
1071 DJ Amsterdam
The Netherlands
http://www.stedelijk.nl/en
開館時間: 月—日曜日 10:00-18:00 (金曜日は22時まで)

 

アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum
Museumstraat 1
1071 CJ Amsterdam
The Netherlands
https://www.rijksmuseum.nl/en/
開館時間: 年中無休 9:00-17:00

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