ドラクロワ(1798-1863)展

Fig.1 Eugène Delacroix, July 28, 1830: Liberty Leading the People. 1830. 1831 Salon. Oil on canvas. 260 x 325 cm. Musée du Louvre, Paris © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado

 

後世に多大なる影響を与えた画家ウジェーヌ・ドラクロワ(1798-1863)の展覧会が開催されている。会場はドラクロワの主要作品の大部分を所蔵するルーブル美術館。サロン初出品作から最晩年の作品まで、180点におよぶドラクロワの絵画作品が一堂に会するこの展覧会は、没後100年にあたる1963年に開催された展覧会以来となる画家の大回顧展である。

ロマン主義の旗手

ドラクロワの代表作三作品が照明を落とした展示室に浮かび上がる。1822年にサロンに初めて出品した《ダンテの小舟》、同時代の事件を題材にしたことで賛否両論を巻き起こした《キオス島の大虐殺》、そしてフランス革命を描いた傑作《民衆を導く自由の女神》(fig.1)である。このようにドラクロワは作品に同時代の事件を取り上げて社会的矛盾を糾弾したり、それまで抑制されてきた憂鬱・不安・動揺・苦悩などといった個人の感情を大胆に描き、ロマン主義の旗手としてギリシア・ローマ時代を規範とする新古典主義に対抗した。

制作の背景

ドラクロワは文学的素養が高く、聖書や神話を含むあらゆる文学作品に着想した作品を多く描いた。彼の絵画、特に初期の作品は、この展覧会で出展されている多くのスケッチや研究者による調査結果が示すように、細心の注意を払って精緻に計算しつくされたものである。さらに、その主題は、同時代の事件、ドラクロワが政府使節団の随行員としてモロッコを旅行した後に数多く描いたオリエンタリズムの絵画、さらに静物画、風景画、動物画と広範囲に及ぶ。今回の『ドラクロワ(1798-1863)展』は、近代の美術表現に絶大な影響を与えた画家ドラクロワの全貌を知る、絶好の機会と言えるだろう。

『ドラクロワ(1798-1863)展』は2018年7月23日まで

ルーブル美術館 Musée du Louvre
75058 Paris
France
http://www.louvre.fr/jp
開館時間:
月・木・土・日曜日 9:00-18:00
水・金曜日 9:00-21:45(夜間開館)
休館日:
毎週火曜日、1月1日、5月1日、5月8日、12月25日

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